2006年12月13日

「いけない」カールダーインさま:ファイナル

男性なら誰しも一度は 

「俺に惚れると火傷するぜ!」

なんてかっこよく言ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
人を選ぶ言葉ですので 黒骨は冗談としてしか、使ったことがありません。「男前だったらな~」と若い頃はよく思ったものです。

今回の話は 「火傷するぜ!」と決めたつもりが 
半殺しにされてしまった とある 仏弟子のお話です。

それでは始まり、始まり・・・・

ある日、カル様(カールダーイン様)は祇園精舎で参詣に来た女性たちの案内をしていました。男前なうえに、女性の扱いが得意なカル様には、まさにうってつけ。一通り、精舎を案内してから、大木の陰で短い説法をすることとなりました。
そして 説法を終えると いつものように女性たちに囲まれ冗談を交わしていました。

するとカル様の美女スカウターに反応が・・

その中にひときわ美しく容姿の整った女の子がいることに気付きます。

「おお!この子は美人だねえ~」
そう思うや否や、条件反射でカル様の悪いクセが頭をもたげます。

早速、その子の側に近寄り、紳士的な言葉をかけながら、思わせぶりな態度を取りつつ、巧みにその子を褒め上げました。

カル様は しばらくやり取りし、その子が自分に好意を抱いているくれたのを感じると満足し、そろそろ お開きということで いつもの決めゼリフ

「おれの部屋(うち)に来るかい?」と言いました。

こう言うといつもなら、

女の子「も~!何言ってるんですかぁ~!?(笑)修行者サンなんでしょ~!(笑)」
カル様「おおそうだった!君の美しさに自分の立場を忘れていたんだよ・・残念だけどしかたない、またね!」

ってな流れになるんですが・・

今日のその子は顔を赤らませ、黙ってモジモジしながら頷くではありませんか!

「え!」少し焦ったカル様ですが 
そこは歴戦の伊達男 慌てず すぐに気持ちとプランを建て直し、彼女をとりあえず自室に案内します。

そして、カル様は彼女が部屋に入った途端、

「ん~」と目をつぶり、
わざと大げさに唇を突き出しました。

カル様のネクストプランでは ここで

女の子「ちょっと!(汗) そんなつもりで来たんじゃないんです!」
的なセリフを引き出し、気まずい空気を作り出すはずだったんですが・・・

この時、カル様は大きなミスを犯していることに気付きませんでした。

それは・・・
カル様の予想を遥かに超えて 
彼女はマジ惚れしていたのです。

彼女はカル様の態度に引くどころか、抱きついてくるではありませんか!

さすがにこれ以上はシャレになりません。 
慌てて彼女を引き剥がし、部屋の外へ出しました。

外に出された彼女はその時になって 
カル様が軽い気持ちだったということに気付きます。

「しどい!(怒)」
本気だった彼女はひどく傷つきました。
と同時に 凄く腹が立ったので 
家に帰ると自分の指で体に傷を付け、
父親に「カルダーインに乱暴された」と嘘をつきました。

それを聞いた父親は烈火のごとく怒り 友人のバラモンたちに訴えました。
訴えを聞いたバラモンたちは よく確かめもせず、祇園精舎に押しかけました。

「カルダーイン出て来いや!」

突然の討ち入りに騒然とする祇園精舎。
しかし、「やれやれだぜ!」といった様子でカル様は平然とバラモンたちの前に現れ、バラモンたちに問い詰められても何も答えず、逆に 金縛りの術をかけて抵抗し、少しもひるみませんでした。

その頃、お釈迦様はこの騒動を察知していました。そして

「今がカルダーインを悟りに導く、最後の機会かもしれない・・」
と考えられ、神通力を現して カル様の術の力を失くしてしまいました。

「あれ!?術が効かないってか、使えねえ!・・うわ!ちょっとタンマ!」
突然のことに 戸惑うカル様。
ですが そんなことはお構いなしにバラモンたちはこぶしを振り上げます。
こうなっては「多勢に無勢」 まさに「なす術もなく」 
その場でボッコンボッコンにされ、半殺し
の憂き目にあってしまいました。

しばらくして 国王の精細な取調べにより、彼女が嘘をついていることが判明します。
それと同時に カル様の取った軽はずみな行動が白日の下に晒されました。

この事件がひと段落すると、事件の取調べを手伝っていた 王妃マリッカーはカル様を呼び、こう諭しました。

「徳の優れた世尊の弟子ともあろうあなたがなんてことをされたのですか!
乱暴したことが無実だったとはいえ、世尊の教えを直接受けている者が まだ若い娘の心を傷つけてしまったのは残念なことです。
そればかりか 今回の一件で人々の世尊に対する尊敬の気持ちまで傷つけてしまったのは 大きな損失です。
これ以上の罪はないでしょう?
私からも世尊にお願いしてみますので、心を入れ替えて 修行に努められてはどうでしょうか?」

王妃の優しい叱責を聞き、目の覚めたカル様は シャーリープトラさまを訪ね、全てを告白しました。

素質に恵まれながらも、気分屋で軽い性格のカル様でしたが この一件で人が変わり 教えとおりに修行しようと心に近い、厳しい修行にひるまない勇気を身につけられました。

そして・・・・

カールダーイン様は 願いどうり、全ての迷いを断ち切り、
ついに悟りを得たと伝えられています。

*根本説一切有部毘奈耶42 黒骨アレンジバージョン

ps:カルさまのかっこ悪いところばかりを記事にしてきましたが 
単に情けない修行者の代表ではなく、実は「決めるとこは決める方」だったんですよ!この方!
特にあたしみたいな半端者にとっては 十代弟子さま以上に 希望の人であり、親近感の湧く人です。
この方の話を思い出すたび、仏教は高尚な人の為だけのものではない証のように思っています。

posted by 泣いた赤骨 at 04:25| Comment(5) | TrackBack(0) | 黒骨の仏教者レビュー | 更新情報をチェックする

2006年12月10日

「いけない」カールダーインさま リローデッド

「エラゴン」cmより
<少年はドラゴンに命を与え ドラゴンは少年に未来を与えた!>
ファンタジー映画の新たなる伝説が、ついに幕を開ける!

最近テレビで このcmを見て

「エラゴンだか、エメロンだか知らねえけど 
一作目の公開前から <三部作>を売りにするなんて
それこそ ディズニーの「まるみや物語」みたいなことになるんじゃねえのか?」

などと知ったような口をきいていた 私ですが ふと思いなおし・・
「つっ走るのも 時には必要かもね・・」と
自分も真似して カールダーインさまの記事をブログで三部作にしようと心に決めた今日この頃 みなさま如何おすごしでしょうか?「いけない」黒骨です。



ということで・・・

今回も「いけない」カールダーインさまの
「いけない」エピソードを記事にさせていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある時、お釈迦様の高弟 シャーリプトラさまは祇園精舎を出て 各地を遍歴されようとされました。
そこで、自分のもとで 修行に励んでいた ラーフラ(お釈迦様の実子で十大弟子の一人)に向かって「ついて来る?それとも ここに残る?」とたずねられました。

すると 

ラーフラさま「私はここにとどまりたいと思います。」

シャーリプトラさま「わかった。けど その間、君を誰に預けたらいいだろう?」

ラーフラさま「私のことは カールダーインさまに頼んでいただけると うれしいのですが」

シャーリプトラさま「う~ん。。出来れば カルさんは
やめたほうがいいと思うよ。
何かと問題起こす人だし・・
きっと 私がいなくなったとたんに 教えに外れるようなことをして 
君を困らせるんじゃないかと思う・・」

ラーフラさま「ご心配ありがとうございます。
しかし、私はカールダーインさまを実の父のように思ってお仕えするつもりです。あの方が 教えに外れたようなことをするとは思えません。」

ラーフラさまがそこまで カル様を信用しているのを知るとシャーリプトラさまはそれ以上反対することが出来ず、結局 カールダーインさまに預け、「くれぐれも頼む」と何度も念を押してから旅に出かけられました。

ところが・・・

シャーリプートラさまの姿が見えなくなると カールダーインさまは ラーフラさまを呼んでこんなことを言い出しました。

カル様「ラーフラ、よく 来てくれたな。俺は正直、嬉しいよ。
今日から俺がお前の指導を任されたんだけど・・・ 
早速、一つ思い切ったことをしてみないか?
規則にとらわれていると
伸びるものも伸びないからな
。」

ラーフラさま「はい!頑張ります!」

カル様「おお、いい返事じゃねえか。実はな・・
向こうの丘の上にある 尼僧の庵に新米の女の子が入った。すげーかわいい子だ!
お前は その子と年も近いし なにより男前で もてるじゃん。
というわけで 「思い切ったこと」ってのは・・・
今からそこに行って 
ここに遊びに来るように誘ってこい!

三人で 仏教について ディスカッションと しゃれこもうや!」

「伸びるものも伸びない」って一体何を伸ばそうとしていたのか?
は不明ですが 慕っていたカル様に いきなりこんなことを言われ ラーフラさまは すっかり失望してしまいました。そして 即座に

ラーフラ様「え!?本気で言ってらっしゃるんですか?
そんなことは修行者がすべきではないと思います。
私はそんなこと出来ませんし、したくありません。お断りします!」

それを聞いたカル様は逆ギレしながら

カルさま「お前、俺に説教する気か?十年早えーよ!
大体 お前 俺を慕って ここに来たんじゃねえの?」

ラーフラさま「確かに私はあなたの側で修行したいと思っていました。
しかし、それは間違いでした。正直ついていけそうもありません。」

ここまで言われてしまいましたので・・

カル様「あーそうですか!そこまで言うんだったら もう いいよ ここから出てけよ!」
と ラーフラさまを外に叩きだしました。

放りだされたラーフラさまは無念と後悔のあまり 涙を流しました。

とここから 話はカルさまの知らないところで 
思わぬ方向へ転がっていきます・・・


ちょうどその時、そこを尼僧のマハープラジャーパティーさま
(お釈迦様の育ての母*以下<マハープさま>と表記)
が通りがかられました。

孫にあたるラーフラさまが泣いているのに気付き、足を止め

マハープ様「あら!ラーフラ なんでこんなところで泣いているのですか?」
とたずねられました。

ラーフラ様は いきさつを話ました。

マハープ様「それはかわいそうに・・なんとかしてやりたいけど。
下手に口出して 良いものかどうだろうか・・
かといってこの子を放っておけないしねえ・・」
と その場で困ってしまいました。

しばらくすると・・・

今度はコーサラ国のプラセーナジット王
(カールダインさまは この王様とお妃さまにとって仏教の師匠にあたります。)
がお釈迦様に面会するためにやってきました。

王は二人を見つけ、歩み寄り ことの成り行きを聞きました。
王も「お釈迦様の お母様とお子さんをほったらかしにして行くわけにはいかない」
ということでその場に立ち止まりました。

それから さらに時間が経ち・・・・

たまたまとおりがかったスダッタ長者
(熱心な在家信者、祇園精舎を寄進した人としても有名)
が 三人を見つけ、声をかけ いきさつを聞きました。
「世尊の義母と実子、そしてこの国の王も悩んでいるのに 
このまま行くわけにはいけない」
とその場に足を止め どうしたものかと考えはじめました。

その時、釈尊はこの騒ぎを察知し、アーナンダ様に調べてくるように命じられました。

アーナンダさまは四人のもとに行き、事情を聞くと 
「また カールダーインが しでかしたか・・」と呆れながら
四人をお釈迦様のもとに連れてこられました。

お釈迦様は報告を聞きました。

そして 一部始終を聞いたお釈迦様は 単にカル様を呼びつけ注意されるのではなく、 
仏教団に 新たな戒律が追加されたのでした。

ps:その時追加された 戒律については 興味深い内容なのでまた記事にしますね。
それにしても 今回のカルさまは 「いけてる」方のカールダーインさまでしょうか?それとも「いけてない」方のカールダーインさまでしょうか?

posted by 泣いた赤骨 at 01:51| Comment(3) | TrackBack(0) | 黒骨の仏教者レビュー | 更新情報をチェックする

2006年12月09日

「いけない」カールダーインさま

♪僕は行かないさ いけない~カントリーロード♪

いきなりですが・・・
皆様は「いけない」という言葉といえば何を思い出されますか?

黒骨としては 世代的に 
「いけないルージュマジック」もしくは
「いけないルナ先生」なわけです。

それにしても「いけない」って言葉っていいですよねえ。

なにか エロティックな味わいがありますねえ。
単に「悪い」っていう言葉だけでは
表現しきれない魅力があるような気がしませんか?

そんなフェチっぽい話はさておき・・

黒骨には 個人的に「かなり謎めいているな!」 と思う方が仏弟子にいるんです。
その方の名は カールダーイン。
お経では 「加留陀夷」と表記されている方です。
本名は 「ウダーイン」なんですが 
ある日 刀で毒蛇を退治した際に その毒気に当てられ 体が黒くなってしまったそうで
そのことから 「カール(黒い)ウダーイン」と呼ばれるようになったそうです。

一体、どの辺が謎めいているのかと申しますと 
お経によってこの方のキャラクターが全く違うんです。

その相反するキャラクターとは・・

①お釈迦様が出家される前からの付き人(いわゆる「いけてるカールダーイン」) 

②常に問題を起こして、お釈迦様に怒られていた修行者(言うなれば「いけないカールダーイン」)

なんです。どういうことなんでしょう?

「おかしいなあ?二重人格ってこと?」
と思い、色々と近所のお寺さんに聞いたりして調べていくうちに
実は お経に出てくる カールダーインさんは 同名の二人がいるらしいことを教えてもらいました。
ですが・・
そのことを知ってあらためてお経を眺めても 記述が交錯しておりまして 私にはどっちがどっちなのか、なかなか分かりません。

破戒僧の性ってヤツなのか?・・・
黒骨としては 「いけない」カールダインさまの大ファンなんです!

ということで・・

まともなお坊さんなら カルダーインといえば「いけてる」方の話をされるでしょうけど 
ここは野良犬坊主の品の無いブログですから 
今回、「いけない」カルダーインさまの「いけない」エピソードを紹介させていただこうと思います。

その①「人の恋路を邪魔するヤツは・・

ある朝、修行僧カルダーイン様は(以下カル様と表記します)
他人の心を透視する術を見につけることに成功します。
「やったぜ!カトちゃん!」とばかりに有頂天。
さっそく、托鉢にかこつけて、町に繰り出します。
行きかう人々の心を心ゆくまで 透視しておりますと 
一人の商人の姿が目にとまりました。
他の商売人は皆、開店の準備をしているのに、この彼だけは 店を閉めているではありませんか!

早速、透視を試みるカル様 すると・・・

商人の心の声:「昨晩は「お楽しみ」だったなあ~。ムフフ・・
念願かなって あんなかわいいお嫁さんを娶ることができた!
自分のかみさんながら 全く あーチクショウ!かわいすぎる!!
かわいいあの子が ベットの上ではあんなエロイやこんな恥ずかしいことを・・・
ん~やっぱ、だめだ!仕事が全く手につかねえ。
一端店閉めて、愛しあいに帰るとしよう!店開けるのはそのあとでいいや!」

この商人は 熱い夜の興奮冷めあらぬ新婚男性ということが判明します。

カルさま「ほほーう。なるほどね。この人どうやら、新婚さんらしいね・・・」

カルさまはそれを知ると 何となく いたずら心からか

二人の邪魔をしたくなってしまいました。

そこでさらに透視によって 彼の住所をリサーチし、 店を閉めている彼を尻目に一足早く彼の家に向かいました。

家に着くと案の定 中から 若くて綺麗な奥さんが出てきました。
カルさま「素敵な奥様おはようございます。
今日は世尊がお説きになった尊い仏法をお話して差し上げましょう。」

若奥さんは「それはそれは ありがとうございます」
とカル様に合掌し、説法に耳を傾けはじめました。

しばらくして・・・

店を閉めた夫がムラムラしながら 足早に帰ってきました。
彼は邪魔な修行者をみるなり 妻を呼び寄せ こう言いました。

夫「さあ早く、その人にはお布施をして帰ってもらいなさい!」

その言葉を聴いて 食料を取りに行こうとした妻をカル様は静止します。

カル様「私がここで説法をしているのは、何よりご主人、あなたの信仰を深めていただきたいからなのです。」
わざとらしいほどに神妙な顔をしてそう言うと 長々と説法をされたのでした。

これには「ファイト!一発!」といった心持ちで帰ってきた夫も説法が終わるころには、すっかり萎えてしまいました。
それを見極めるとカル様は「ルンルン♪」と意気揚々と満足げな顔をして帰っていったのです。

商人は憮然として、再び店に向かって出かけました。
すると途中で 修行者に出会いました。そこで商人は腹立ち紛れに

商人「私は金輪際、修行僧には布施しません!」と吐き捨てました。

修行者「どうしたのですか?」

商人「どうしたも、こうしたもないですよ!カルダーインという坊主を知ってますか?
あいつは新婚の私の家に上がりこんで長々と説法して私達の楽しみを邪魔したのです。
庶民の喜びを妨げて、それが修行者の欲望を断ち切ることと関係あるんですかね?
それが仏教なんですかねえ!」と足早に去っていきました。

『何やってんだよ、カルダーイン・・」ということで
この修行者は早速このことをお釈迦さまに報告しました。
そして、お釈迦様はカルダーインと修行者たちを一堂にあつめ こう言われました。

「よく聞きなさい。私たちが法を説くのは、法によって人々を苦しみから救うためです。
たとえ 法を説いても それが邪まな考えのもとになされ、
人々に嫌悪の情を抱かせるのなら それは法とは言いません。
カルダーインよ!今後は夫婦者の所に出かけ、上がり込み、長居するようなことがあってはなりません。
もしも これを破った時は 罪を犯したのだと知りなさい!」

こうして 「いけない」カルダーインさまによって 
仏教団にまたひとつ 戒律が増えることになったのでした・・・

いけませんね~

*根本説一切有部毘奈耶37 黒骨アレンジバージョン

・・・・・・・つづく・・・・・・・・・・・・

ps:このカルダーインさまは 「いけてる」方でしょうか「いけてない」方でしょうか?

posted by 泣いた赤骨 at 01:56| Comment(5) | TrackBack(0) | 黒骨の仏教者レビュー | 更新情報をチェックする
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